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では、これらの国々のどういう所が違うかと言いますと、まず違うのが、人種民族的背景です。スコットランド人とウェールズ人、そしてアイルランド人は、共に『島のケルト』と呼ばれる人々で、ヨーロッパ大陸から来たケルト人と、ピクト人等の先住民族が融合した文化背景を持っており、皆共通してケルト系の言語を話していた民族なので、かなり近い関係にあります。又、これらのケルト語文化圏の特徴として、他民族の征服侵攻には徹底的に対抗する姿勢は強くもっていながらも、先住民族文化や流入文化に対する受容性が高い事が挙げられます。その結果、スコットランド、ウェールズ、そしてアイルランドでは、土着のピクト文化やドルイドを中心としたケルト文化、そして5世紀頃に流入してきたキリスト教文化が見事に融合し、『ケルティック・クロス』に象徴されるケルト系キリスト教といった独自の世界観を開花させます。そしてこれは、或る意味、渡来人と融合して独自の文化を作って行った日本の縄文人にも同じ事が言えるでしょう。ケルト文化圏は、元々自然崇拝の信仰が根底にあった為、その土地にまつわる感性的なものをベースに歴史が展開されてきた傾向が強く感じられます。
私達が通常呼んでいる『イギリス』の正式な国名は『グレート・ブリテン及び北アイルランド連合王国 / United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland』です。グレート・ブリテンとは『イングランド』、『スコットランド』、『ウェールズ』の3つの国から成り立っており、それに『北アイルランド』が加わった4国の総称が『イギリス』 (U.K.) となります。一口にイギリス人と言っても、イングランド人、スコットランド人、ウェールズ人、そして北アイルランド人は、歴史や民族背景が違っており、それぞれ個別のアイデンティティーを持って生活しています。ウェールズは16世紀半ば、スコットランドは18世紀初頭、アイルランド北部は19世紀初頭に長期にわたる激しい戦いの末イングランドに併合されて行きます。(現在もアイルランドでは、北部以外は独立を保ちアイルランド共和国となっています。)しかし、民族背景が違うとは言え、現在の国名がグレート・ブリテンである以上、イングランド人、スコットランド人、ウェールズ人を総称してブリティッシュと呼びます。(北アイルランドでだけは、自らをアイリッシュと呼ぶ人もいるようですが。)
尚、British Highland では、ブリティッシュの中でも、特に島のケルトと呼ばれるスコティッシュのファッションを中心にお届けいたします。
一方、現在 U.K.の人口の8割近くを占めると言われているイングランド人の主な起源は、ゲルマン系のアングローサクソン人だと言われています。グレートブリテン島は紀元前1世紀半ばから5世紀初頭までローマの支配下にありましたが、その後ローマが衰退しローマ軍が撤退すると、ゲルマン民族であるアングロ=サクソン人が大陸から流入してきます。そして、先住のケルト系の住民を駆逐・征服すると、グレートブリテン島の中部以南(現在のイングランド)にアングロ=サクソン七王国を造り上げます。その後、ヴァイキングの侵入により壊滅的な打撃を受けたりもしますが、9世紀にはヴァイキングも駆逐し、10世紀には現在のイングランドに当たる地域は統一された王国となります。その後も11世紀にはノルマンディー公に征服されフランク王国(後のフランス王国)の支配下に入ります。しかし14〜15世紀に百年戦争が起こりフランスの支配を脱し、結果として現在のイングランドの始まりとなるイングランド王国が興ります。イングランドはU.K.の他の地域、つまりケルト文化圏と違い、基本的に血統的な伝統と合理性を軸にした、征服的な歴史が展開されている様に感じます。
イングランドのブリティッシュと、その他のケルト文化圏のブリティッシュの基本的な違いは最初に説明しましたが、では実際のところどのような性質の差があるのでしょうか。それぞれの性質を、ごく乱暴に表現したエスニックジョークがあるのでご紹介しておきます。
▼其の一
イングランド人とアイルランド人とスコットランド人が島に取り残された。イングランド人が真鍮製の飾り物に躓いてそれを拾い上げ、「おい、これは魔法のランプだ。」と言った。
スコットランド人がそれをこするとランプの精が出現し「3つの願い事をかなえましょう。」と。すると
イングランド人は「帰ってパブでのんびりしたい。」と願いをした。そして彼は消えた。
スコットランド人は言った。「帰ってフィッシュ・アンド・チップスを一袋食いたい。」すると彼も消えた。
アイルランド人は足を進めつつ言った。「うーん…、一人ぼっちだ。彼らが戻ってくれればいいのに。」
(以上、Wikipediaからの転用)
*ちょっとアイルランド人に対しての差別的なものを感じますが、アイルランドの人の良さも何となく分かるジョークです。実際アイルランド人は感情的な人が多く、人なつこいのと同時にレッドヘッド(喧嘩っぱやい)事でも有名です。
▼其の二
イングランド人とアイルランド人とスコットランド人がパブに入り、そろってビールを買った。
冷えたビールをグッと飲もうとしたその瞬間、ハエが一匹ずつビールにぽちゃんと落ちた。
イングランド人はビールを捨ててしまった。
スコットランド人はビールの中からハエをつまみ出し、気にせずにビールを飲み続けた。
アイルランド人はハエをつまみ出して逆さにぶら下げ、こう叫んだ。
「吐け! オレのビールを吐きだせ、この野郎!!」
(以上、Wikipediaからの転用)
*これは、イングランド人のやや神経質でスクエアな感じ、スコットランド人の実質的であまりこだわらない感じ、そしてアイルランド人のこだわらないを通り越してる感じと酒好きな感じがそれなりに出ているかと思います。そう言えば、アイルランドでは昔、飲酒と喧嘩が男性の二大娯楽だったという話を、アイリッシュの先生から聞いた事があります。
▼其の三
山道で二人の人間が出会った時、アイルランド人同士なら殴り合いになる、スコットランド人同士なら自分の財布を握りしめる、イングランド人同士なら無言(紹介されていないから)、ウェールズ人同士なら一緒に歌うんだそうです。
(以上、YahooJapan知恵袋からの転用)
*これは、二番目のジョーク同様なアイルランド人の喧嘩好きと、スコットランド人のけちん坊な性格、イングランド人の自意識過剰で固い感じ、そしてウェールズ人の友好的で歌好きな所が描かれています。ただかなり、ウェールズ目線のジョークですが。
この様に背景の違う民族が、連合を組んだ形となり、現在の『グレート・ブリテン及び北アイルランド連合王国 / United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland』が成り立っている訳ですが、これを形態的に分かりやすく象徴しているのが、U.K.の国旗『ユニオン・フラッグ(ユニオン・ジャック)』です。日本でもポピュラーなこの国旗は、実は複数の国旗が重ねられて出来ています。
まず、スコットランドの国旗は、青地にセント・アンドリューズ・クロス(St. Andrew's Cross)と呼ばれる白の斜め十字が描かれたものです。旧アイルランドの国旗は、白地にセント・パトリックス・クロス(St. Patrick's Cross)と呼ばれる赤い斜め十字が描かれたものです。そして、イングランドの国旗はセント・ジョージズ・クロス(St. George's Cross)と呼ばれる白地に赤の十字架が描かれたものです。これらを順に重ねて行くと、私達が目にする『ユニオン・フラッグ(ユニオン・ジャック)』となる訳です。(ウェールズの国旗は入っていませんが、これはウェールズがいち早くイングランドに合併され同化した為だと言われています。)
*ちなみに、セント・アンドリュー、セント・ジョージ、セント・パトリックはそれぞれの国の守護聖人の名前です。